バイエルン州立歌劇場の「椿姫」
すっかり、海外で鉄道を利用した時に投稿するブログになりました。
ドイツ通いの費用捻出のため、18きっぷでの国内旅行も自粛して数年、
国内旅行のネタもすっかり無くなってしまってしまいました…
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さて、今、NHKの朝の連ドラで「椿姫」が取り上げられているので、
久しぶりに長いエントリを書いてみたいと思います。
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三文恋愛小説の名作、と書くと叱られてしまうかもしれませんが、大好きなんですよ。
小デュマの原作を子供の頃に読んで、
悲哀というものを感じる以前に、冒頭から哀れとしか言い様のない
出オチ(主人公アルマンと墓から出されたヒロインであるマルグリットの
白骨化した遺体との対面)にのっけからヤラれ、
水に漂う血の色がしっかりと色付けされたイメージで頭に残り、
ファウストの幻の中のグレートヒェンの首の赤い糸と共に、
小説から受けるイメージの強烈さでは、自分の中では双璧なのですが、
その分、オペラの「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」の
脚色具合には不満だらけなのです。
もともとオペラなんて、レチタティーヴォやアリアやらで進める
内容なんて、分量は少なくしなきゃならないですよ、わかってますよ。
もちろん、指揮者・クライバーの大ファンなので
コトルバスのヴィオレッタは何度もCDで聞いてますし、
あんなに元気そうな丸顔で、コロラトゥーラなのにヴィオレッタ?という
グルべローヴァの映像も「でも、凄いなぁ」とか思ってましたが、
実際観に行く段となると、候補の演目からは除外していた椿姫、
「まぁ、いいか、フツーの演目で。バックステージツアーの縁もあるし」と
たまたま観たバイエルン州立歌劇場のステージに、
まんまと泣かされました。涙が止まらない(笑)。
意欲的な?実験的な演出ばかりが続く
最近のバイエルンのシュターツオーパーですが、
その合間にかかる、観光客向けなのか、年寄り向けなのか、
なんの変わりもないカビの生えた演出と衣装とセットの演目…
「椿姫」とか「カルメン」とか「魔笛」とか「こうもり」とか、
そういうのがやっぱり見応えあるんですよね。
ベースの実力がもともとしっかりしているからでしょうか。
凄い!! という訳でもないですし、人気歌手が出るとかではないですし
本当にベーシック。 でも「観た〜!」という満足感あります。
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立ち見で観たバイエルンの「椿姫」、前の列に日本人の女の子が居て、
スマホで調べながら「3幕が見せ場なんだってー」とか言ってました。
いや、もうのっけから乾杯の歌とか花から花へとか、名曲出るよ?
3幕はあれだ、クライバーの「死ね!死ね!死ね!」てヤツだ。
どうしてもプリマドンナはどっしりでっぷりしてるから
見た目も声も、死にそうにないんですよね。
「ラ・ボエーム」のミミもしかり。
「そはかの人か〜花から花へ」とか、文語体って素敵…
で、その彼女達、2幕で疲れて座り込み、途中で帰ってしまってました。
ウィーンなら良かったのにね。
バイエルンは立ち見でも1300円するから、もったいない…
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私は消極的に観たカルメンと椿姫で、
バイエルンで平凡な演目、積極的に見て行くのもいいな、
と考えを改めたのでした。
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ちなみに意欲的新演出の中だと「メフィストフェレス」は
それこそ原作のマルガレーテのシーンがの印象が強過ぎて、
バイエルンの舞台の印象はショボ過ぎました。全般的にチンピラでグロいし。
プログラムのブックレットはグロ過ぎて返本しました(マジで!)
「ルチア」も流血のチンピラ達のストーリーでしたが、
出演者がいい分、まだマシ。ピストル振り回されたら確かに怖いし(笑)。
反対に、新聞などでも評価の低かった「ギョーム・テル」…ん?
ドイツだから「ヴィルヘルム・テル」(ウイリアム・テル)ですね、
あれは私的にはとても良かった! 演出も効果的だと感じましたし、
こちらも血まみれですが、革命には多くの犠牲を伴う事を
伝えてくれるのに効果的とも感じました。
グランドオペラか〜と尻込みしてましたが、あっという間の5時間でした。
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